| 弟のファラミアも刑事さん。 こっちは要領よく賢く出世して行けそうです。 でも、やっぱりお人好しの兄貴が大好き。 「あ〜あ、ま〜ただまされちゃって……（ため息）」 先程の一件を陰で見ていたらしい。 「でもま、そういう兄上だから、ほっとけないんだよな……（苦笑）」 ファラミアは早足で雑踏をすり抜け、先程のチンピラを見つけ出した。案の定、チンピラはさっきボロミアから貰った金で、早速ギャンブルに手を出そうとして いる。 「おい、おまえ！ 兄貴はだませても、他のヤツはだ〜れもあんなクサイ手にひっかからねぇぜ！」 チンピラを締め上げたファラミア。 「さあ、さっき兄貴から巻き上げた金を出しなっ」 「……まったく、金もないくせに、す〜ぐこうやってチンピラに金をやっちまうんだ」 そう。それがボロミアが「メゾン・ド・オルサンク」に住み続ける理由の一つ（笑）。 その頃のボロミアは、すっかり薄くなった財布にチラリと目を走らせて大きなため息を吐いた。今月、給料日までこれで暮らしていけるだろうか？ まあ、いざ となれば、メゾン・ド・オルサンクの仲間が、何か食わせてくれるだろう。 とぼとぼと歩き始めたボロミアの背を、ファラミアがポンと叩く。 「兄上」 「ファラミアか。どうした。おまえも仕事の帰りか？」 「ええ。兄上、たまには一緒にどこかで食事をしていきませんか？ せっかくこうしてご一緒出来たんですし……」 「ああ。……でもなぁ、実は今月ピンチでな……」 「あはは。今日は私のおごりです。ちょっと臨時収入がありましてね。それに、兄上には子どもの頃から、さんざんお世話になってますから」 「……そうか？（ちょっとうれしそう）じゃ、そうして貰うかな……悪いな、ファラミア」 「いいえ。そのうち、また機会があったら、今度は奢って頂きます」 「そうだな。約束だ」 兄上がだまされた金を取り戻してきましたよ、なんて、口が裂けても言えないファラミアの窮余の一策。せめて、そのお金で美味しいものを食べて貰おうとの配 慮です。 ああ、美しき兄弟愛ｖ ファラミアもメゾン・ド・オルサンクにはよく遊びに来ます。 実は、かつてはボロミアと一緒に、メゾン・ド・オルサンクに住んでいたのです。 でも……可愛い彼女が出来たので、彼女を招けるお部屋に引っ越したというわけ（笑） トイレもお風呂も炊事場も共有で、個室の扉なんて有って無きが如しのメゾン・ド・オルサンクに、彼女なんて連れてきた日には……(^_^;) というわけで、そのエピソードは、また後日ｖ 兄貴：ボロミアへ戻る 同居人一覧 ＊ 作家志望の青年：フロド ＊ 植木屋さんの見習い職人：サム ＊ 流離いの謎の老人：ガンダルフ ＊ ハンバーガーショップのフリーター：レゴラス・ピピン ＊ 世界を股に掛けるビジネスマン： アラゴルン ＊ 情にもろい刑事：ボロミア（もちろん、時々遊びに来る弟ファラミアも同業者ｖ） ＊ コンビニのフリーター：メリー ＊ 工事現場監督：ギムリ |