ポツリポツリと、ウラジーミルは語った。理想に燃えているのだろう。革命を語る彼の眼は輝いていた。”４”は彼を気の毒に思った。マクミランが彼らを支援したのは、ラナケスがウシリスに軍事介入するきっかけにするためなのに。だが、彼女は決してそれを口にすまいと思った。”４”は余計なこととは知りつつ、ウラジーミルに言った。

「私もウスティバードを見て、このままではいけないとは思った。しかし、戦いはいつも、不幸な子供達を生む。・・・それは忘れないでくれ。それから、残念ながらラナケスはマクミランを見限った。彼を取り戻しても、もう援助は期待できないからな。」

ウラジーミルは、先ほどの彼女の生い立ちを聞いたせいもあり、素直に頷いた。”４”はこの若者を好ましく思っている自分を感じていた。

　バァーン！！

その時、乱暴にドアが開けられた。入ってきたのは、ウラジーミルよりも一回りほども大きい男だった。その男は”４”と、その傍に腰を下ろしているウラジーミルを見てニヤニヤした。

「へへぇ、なかなかいい女じゃねぇか。なんだよ、おまえ、乱暴なことしたな？この痣、美人が台無しだぜ。ふふん。もう、楽しんだのか？」

ウラジーミルは立ち上がって、その男を睨みつけた。

「それが、誇り高き”解放戦線”の戦士の言うことか！？」

「違うのか？なんだ、堅いこと言うなよ。いいじゃねぇか、たまにはよ。おまえがいいってんなら、俺がいただくぜ。」

「よせっ。イワノフ！！」

ウラジーミルが”４”をかばうように立ちはだかった。だが、”４”はウラジーミルを諭すように小声で言った。

「気にするな・・・。おまえの立場が悪くなるぞ。」

ウラジーミルが”４”を振り向いて、悲痛な顔をした。イワノフと呼ばれた男と彼は、どう見てもイワノフの方が立場が上のようだった。”４”はそれを察したのだった。

「物わかりがいいねぇ。」

イワノフはウラジーミルを横に押しのけながら、”４”に近付いた。ウラジーミルは、眉を寄せて黙って”４”を見つめていた。

「・・・足のロープは外してもらえるんだろうな・・・？このままってのは嫌だ・・・。」

”４”は諦めたように、瞼を伏せて言った。イワノフはニヤニヤしながら”４”の足のロープを外すために膝をついた。ウラジーミルは、”４”のそんな姿を見たくなかった。彼は唇を噛みしめ、顔を背けて部屋を出て行った。